睡眠不足が続くと太りやすくなる可能性を示す研究は複数ありますが、寝不足が体脂肪を直接増やすと言い切れる段階ではありません。
研究で示されているのは、睡眠が短いと食欲に関わるホルモンや食べる量が変わり得ること、そして睡眠時間が短い人ほど肥満の人が多いという「関連」です。体重の増減は、睡眠だけでなく食事の内容や活動量を含めたエネルギー収支で決まります。
この記事では、食欲ホルモンと食事量の研究、睡眠時間と肥満の調査、ダイエット中の睡眠の影響、睡眠を見直すポイント、睡眠時無呼吸症候群の受診の目安までを、研究の対象と限界を示しながら医師の監修のもとで解説します。
【監修医師】与那覇 靖(URARAクリニック 統括院長)
浜松医科大学卒業。日本内科学会・日本抗加齢学会・日本肥満症治療学会所属。
安全のため、以下に当てはまる方はサービスを提供できないことが多くございます。何卒ご留意ください。
18歳未満75歳以上/BMIが18.5以下/がん/心疾患/肝疾患/腎疾患/妊娠中/授乳中/産後3ヶ月以内の方
睡眠不足で食欲が増す?ホルモンと食事量の研究

食欲に関わるホルモンとして、食欲を抑える方向に働くレプチンと、食欲を高める方向に働くグレリンが知られています。睡眠との関係を調べた代表的な研究は次の3つです。
- 2004年・米国(Spiegelら):健康な若い男性12人(平均22歳・BMI約23.6)が、食事と活動量を管理した環境で「睡眠を制限した2日間」と「睡眠を延ばした2日間」を過ごしました。睡眠を制限した期間はレプチンが平均18%低く、グレリンが28%高く、空腹感は24%、食欲は23%増え、カロリーが高く炭水化物の多い食べ物への欲求は33〜45%増えました。
- 2004年・米国(Taheriら):睡眠の調査に参加した1,024人を調べた観察研究で、睡眠が短い人ほどBMIが高い傾向がみられ、習慣的な睡眠が5時間の人は8時間の人よりレプチンが約15.5%低く、検査室で測った夜間睡眠が5時間の人は8時間の人よりグレリンが約14.9%高いと推定されました。
- 2022年・米国(Tasaliら):睡眠が平均6.5時間未満で、BMI25〜29.9の21〜40歳の80人を、2週間、睡眠を延ばす指導を受ける群と、いつも通りに過ごす群に分けた試験です。睡眠延長群は睡眠が約1.2時間長くなり、1日のエネルギー摂取量が対照群より約270kcal少なく、2週間の体重の変化は対照群との差で約0.9kgでした。この数値は群どうしの体重の差で、体脂肪の減少量や長期の減量効果を示すものではありません。
これらの研究には限界があります。Spiegelらの研究は12人の若い男性を2日間みたもので、エネルギー消費は測っていません。Taheriらの研究は、ある時点の状態を調べた観察研究で、睡眠不足がホルモンの変化を通じて体重を増やすと証明したものではありません。Tasaliらの研究も、対象と期間が限られています。いずれも、すべての人に同じ結果が当てはまるとは言えません。また、これらを合わせても、ホルモンの変化が食べる量の変化を引き起こしたとまでは言えません。
睡眠時間が短い人は太りやすい?調査でわかる関連と限界

世界の研究をまとめた2008年の分析(Cappuccioら)では、45件の研究のうち30件(約63万人・うち成人約60万人)を統合し、成人では、睡眠時間が短い人は肥満である割合が高く、オッズ比は1.55(95%信頼区間1.43〜1.68)でした。オッズ比は、肥満に該当する「オッズ」(該当する側と該当しない側の比)を比べた指標で、「睡眠が短いと肥満になる確率が1.55倍になる」という意味ではありません。著者らも、ある時点の調査が中心で、他の要因を十分にそろえられておらず、因果関係の推定は難しいとしています。
日本の調査も紹介されています。厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」によると、日本人の男性労働者約4万人を7年間追跡した調査では、睡眠時間が1日5時間未満の人は、5時間以上の人と比べて、肥満になるリスクが1.13倍と有意に高いと報告されています。
ここで注意したいのは、「関連がある」ことと「睡眠不足が原因で太る」ことは同じではない点です。睡眠が短い人には、仕事の忙しさ・夜遅い食事・活動量の低下など、体重に関わる別の要因が重なっていることがあり、調査だけで睡眠が原因とは決められません。
同じガイドでは、成人はおおよそ6〜8時間が適正な睡眠時間の目安とされています。睡眠の必要量には個人差があり、「短い睡眠でも平気」というショートスリーパーの方が太りにくいかどうかを示した資料は、この記事では確認できません。平気という自覚と、体に必要な睡眠が足りているかは別の問題です。休日に長時間の睡眠が必要になる場合は、平日の睡眠が不足しているサインだとガイドは示しています。
寝不足だとダイエットは進みにくい?体重計の数字の見方

ダイエット中の睡眠を調べた研究もあります。2010年の米国の研究(Nedeltchevaら)では、過体重の成人10人(女性3人・男性7人、平均41歳、BMI約27.4)が、14日間の食事制限を、睡眠の機会が8.5時間の条件と5.5時間の条件で行いました。睡眠が短い条件では、減った体重に占める脂肪の割合が55%低く(減った脂肪は1.4kg対0.6kg)、除脂肪量(筋肉などの脂肪以外の組織)の減少が60%大きい(1.5kg対2.4kg)結果でした。空腹感の増加も伴いました。
この研究が示すのは「睡眠が短いと、同じ食事制限でも減る中身が変わる可能性がある」ということで、対象は10人・期間は14日と限られています。睡眠を増やせば痩せる、という意味ではありません。
寝不足の翌日に体重計の数字が増えていても、一晩の寝不足で体脂肪が増えたとは言えません。体重は、水分・食事の量・排便などでも上下します。Spiegelらの研究も、体重の変化を調べたものではなく、ホルモンと空腹感を測った研究です。数日の変動に一喜一憂せず、体重は同じ条件(朝の起床後など)で記録して、週単位の流れを見るほうが判断しやすくなります。
睡眠を見直すときのポイント(厚生労働省のガイドより)

睡眠を整えることが体重管理の一部になり得ます。厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」に書かれている内容から、体重管理と関わりやすい点をまとめます。
- 睡眠時間の目安:成人はおおよそ6〜8時間。睡眠の必要量には個人差があるため、日中の眠気の強さも目安にする
- 休日の寝だめ:平日の睡眠不足を休日に取り戻す効果は限定的とされ、休日の起床が大きく遅れると体内時計が乱れるおそれがある
- 就寝前の夜食・間食:体内時計を後退させ、翌朝の睡眠休養感を下げることが報告されている。夜食・間食の過剰摂取は、肥満や閉塞性睡眠時無呼吸のリスクを高めることも報告されている
- 寝る前の過ごし方:寝床に就く前に少なくとも1時間は、家事や仕事に追われずリラックスする時間をつくる。眠気が来ていないのに無理に眠ろうとしない
- カフェイン・お酒などの嗜好品:睡眠に影響するため、ガイドの「嗜好品と睡眠について」の項目も確認する
ガイドを実践しても、不眠の症状、睡眠で休めた感じが得られない状態、日中の眠気が改善しない場合は、医師に相談してください。
いびきや日中の眠気があるとき|睡眠時無呼吸症候群の受診の目安

睡眠不足の背景に、睡眠時無呼吸症候群が隠れていることがあります。ガイドでは、閉塞性睡眠時無呼吸は、睡眠中に空気の通り道(気道)が狭まって呼吸がしづらくなったり、一時的に止まったりする睡眠障害で、睡眠が浅くなり、日中の眠気や居眠り、睡眠で休めた感じの低下、不眠などが現れると説明されています。肥満が最大の発症危険因子ですが、下顎が小さい・首が短いなどの身体的な特徴で、肥満でなくても起こります。女性でも、閉経後に増えることが知られています。
次のような場合は、体重の対策を始める前に、医師へ相談してください。
- いびきが大きく、頻繁にある
- 睡眠中に呼吸が止まっていると家族などから指摘された
- 十分に寝ているはずなのに、日中の強い眠気や居眠りが続く
- 起きたときに、睡眠で休めた感じがない・頭が重い日が多い
運転中に強い眠気がある場合は、安全な場所に停車し、眠気が残る間は運転を再開しないでください。眠気が繰り返す場合は、運転を控えて早めに受診してください。仕事中に強い眠気がある場合も、危険を避けるため作業を中止してください。受診先は、まずはかかりつけ医、または睡眠障害を診る医療機関に相談してください。
始める前に注意したい方・体調不良のサイン

BMI18.5未満の方、成長期の方、妊娠・授乳中の方は、自己判断で減量目的の食事制限を行わないでください。心臓・腎臓・肝臓などの持病がある方、血圧・糖尿病などで通院や服薬をしている方、睡眠薬や精神科の薬を使っている方は、睡眠や生活習慣を大きく変える前に主治医に相談してください。
睡眠薬・睡眠改善薬・サプリメントは、自己判断で使い始めたり量を変えたりせず、不眠が続くときは医師に相談してください。また、気分の落ち込みや意欲の低下が2週間以上続く場合は、うつ病などが関わることがあるため、体重の対策より先に医療機関を受診してください。症状が強く日常生活に支障がある場合は、2週間を待たずに受診してください。自分を傷つけるおそれなど差し迫った危険がある場合は、すぐに119番通報してください。
食べ始めると止められない、食べた後に吐いたり下剤を使ったりする、体重が増えることへの強い恐怖があるといった場合は、体重にかかわらず、摂食障害に対応する医療機関に相談してください。
胸の痛み、強い息切れ、意識がぼんやりする、片側の手足に力が入らないといった症状が出た場合は、様子を見ずにすぐ119番通報してください。
睡眠を整えても体重が落ちにくいときは

睡眠時間を見直し、食事の内容や活動量も確認しているのに体重が落ちにくいと感じる場合は、まずは自分に減量が必要な状態か、睡眠時無呼吸などの受診の目安に当てはまらないかを確認しましょう。体重は水分などでも変動します。急な体重変化や体調不良がある場合は、医療機関へ相談してください。
URARAクリニックの『医療美痩身』では、全身の体重・体型の管理を目的に、管理栄養士による栄養指導をはじめ、診察の結果に応じて内服薬・注射薬・機器による施術などの必要性を医師が判断し、組み合わせる複合治療をご提案しています(自由診療・効果には個人差があります)。
URARAクリニックの症例

症例No.00122|30代女性・158cm|74.6kg→69.3kg(−5.3kg)
治療内容:遺伝子検査、次世代医療機器、脂肪溶解注射、ダイエット点滴、ダイエット薬、オリジナルサプリメント(NMNサプリ・漢方サプリ・プロテイン)、医師の問診・栄養指導を組み合わせた複合治療 症例の詳細を見る

症例No.00118|40代女性・148cm|72.2kg→69.2kg(−3.0kg)
治療内容:遺伝子検査、次世代医療機器、脂肪溶解注射、ダイエット点滴、ダイエット薬、オリジナルサプリメント(NMNサプリ・漢方サプリ・プロテイン)、医師の問診・栄養指導を組み合わせた複合治療 症例の詳細を見る

症例No.00133|30代男性・165cm|83.6kg→77.0kg(−6.6kg)
治療内容:遺伝子検査、次世代医療機器、脂肪溶解注射、ダイエット点滴、ダイエット薬、オリジナルサプリメント(NMNサプリ・漢方サプリ・プロテイン)、医師の問診・栄養指導を組み合わせた複合治療 症例の詳細を見る
治療期間の目安:3ヶ月程度(通院は月1〜4回程度)
※コース総額 97,000円〜1,812,000円(税込)。表示の月額は当社指定の信販会社をご利用した分割料金。詳細はカウンセリング時にご説明します。
副作用・リスク:赤み、ヒリヒリ感、稀に強いひりつきや水ぶくれ、知覚過敏、無感覚、内出血、じんましん、凍傷、施術後数日の痛みやしびれ、便秘、吐気、腹満、下痢、倦怠感、頭痛などの症状が出る場合があります。
※効果には個人差があります。
上の症例は、URARAクリニックの『医療美痩身』を実際に受けた方で、体重の変化は複合治療全体の結果です(睡眠の改善による効果を示すものではありません)。治療の内容・標準的な費用・主なリスクは、施術・料金のページとカウンセリングでご確認ください。
URARAクリニックの公式LINEでは、カウンセリングのご予約やご相談を受け付けています。
よくある質問

Q. 1日のうちで、一番太りやすい時間帯はありますか?
特定の時間帯だけで太りやすくなると判断できる資料は、この記事では確認できません。体脂肪の増減には、食べた量や生活リズムが関わります。夜遅い食事や夜食については、次の質問を参照してください。なお、体重計の数字は1日の中で、食事・水分・排泄などによって上下します。
Q. 寝すぎ(長く寝る)でも太りますか?
厚生労働省のガイドでは、7時間前後の睡眠の人で生活習慣病やうつ病などのリスクが最も低く、それより長い睡眠も短い睡眠もリスクが高い関連が報告されています。ただし、これは関連であり、長く眠ると太ることを示した結果ではなく、体重だけを調べたものでもありません。長時間の睡眠には、別の病気などが関わっている場合もあります。
Q. 夜遅い食事や夜食は、睡眠と体重にどう関係しますか?
ガイドでは、就寝前の夜食・間食は体内時計を後退させ、翌朝の睡眠休養感を下げること、過剰摂取が糖尿病や肥満につながることが報告されています。
Q. 睡眠不足のときに、食事制限や運動を強めたほうがよいですか?
睡眠が不足したことを補おうとして、急に食事制限や運動量を増やすことはおすすめできません。前述の研究は10人・14日間のもので、睡眠が短いと食事制限中の脂肪以外の組織の減少が大きくなる結果でした。強い眠気があるときは、危険を伴う運動は避けてください。すでに治療中の食事療法がある方は、変更する前に主治医に相談してください。
Q. 睡眠不足が続くと、体重以外にどんな影響がありますか?
ガイドでは、日中の眠気や疲労、注意力・判断力の低下に加え、慢性化すると、高血圧・2型糖尿病・心疾患・脳血管障害などのリスクの上昇に関連すると説明されています。
Q. いびきをかく人は、みんな睡眠時無呼吸症候群ですか?
いびきをかく人がすべて該当するわけではありません。ただし、いびきが大きく頻繁な場合や、睡眠中の呼吸停止が観察される場合は、医師に相談してください。
Q. 睡眠の質が悪いだけでも、太りやすくなりますか?
ガイドでは、日本の追跡調査で、睡眠で休めた感じ(睡眠休養感)の低下が、肥満・糖尿病・脂質異常症を含む代謝機能の障害と関連することが示されています。ただし関連であり、原因と証明されたものではありません。
Q. 睡眠を助けるサプリメントや睡眠薬を使ってもよいですか?
自己判断で使い始めることはおすすめできません。サプリメントは医薬品ではなく、体重が減ることも保証されません。不眠が続くときは医師に相談してください。
まとめ

睡眠不足と体重の間には、食欲ホルモンの変化・食事量の増加・肥満の割合の高さといった関連を示す研究がありますが、睡眠不足が体脂肪を増やすと言い切れる根拠はなく、体重の増減は食事や活動量を含めたエネルギー収支で決まります。成人はおおよそ6〜8時間の睡眠が目安とされています。
いびきが大きい、睡眠中の呼吸停止を指摘された、十分寝ても日中の強い眠気が続くといった場合は、体重の対策より先に、医師に相談することが大切です。
URARAクリニックでは、医師が診察し、管理栄養士と連携しながら、一人ひとりの状態に合わせた全身の体重・体型管理『医療美痩身』をご提案しています。
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参考文献
- 厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」
- Spiegel K, et al. Brief communication: Sleep curtailment in healthy young men is associated with decreased leptin levels, elevated ghrelin levels, and increased hunger and appetite. Ann Intern Med. 2004(PubMed)
- Taheri S, et al. Short sleep duration is associated with reduced leptin, elevated ghrelin, and increased body mass index. PLoS Med. 2004(PubMed)
- Cappuccio FP, et al. Meta-analysis of short sleep duration and obesity in children and adults. Sleep. 2008(PubMed)
- Nedeltcheva AV, et al. Insufficient sleep undermines dietary efforts to reduce adiposity. Ann Intern Med. 2010(PubMed)
- Tasali E, et al. Effect of Sleep Extension on Objectively Assessed Energy Intake Among Adults With Overweight in Real-life Settings: A Randomized Clinical Trial. JAMA Intern Med. 2022(PubMed)
記事の監修者

統括院長
20年以上にわたり、内科医として循環器や糖尿病患者の診療を担当してきました。疾病を予防するためには、肥満を克服することが極めて重要ですが、健康的な方法での体重減少は簡単なことではありません。痩身が実現できないかとの思いから、医療痩身の分野に足を踏み入れました。信頼性の高いエビデンスに基づいた新しい痩身メソッドの確立を目指し、『美痩身』を実現するために尽力しています。
人生100年時代における美容と健康に貢献すべく、医療技術及び健康への飽くなき探求を行い、”美と健康の医療的プロフェッショナル集団”であり続けるよう、日々邁進しております。ぜひご来院お待ちしております。
【経歴】
- 1992年3月 浜松医科大学卒業
- 1998年4月 名古屋大学医学部附属病院勤務
- 2000年10月 医療法人尚徳会ヨナハ総合病院勤務
- 2015年4月 医療法人尚豊会みたき総合病院勤務
【所属学会】
- 日本内科学会
- 日本循環器学会
- 日本人間ドック学会
- 日本抗加齢学会
- 日本再生医療学会
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